微生物発酵農業専門家のくまちゃん先生こと、猪熊文夫です。

私は、1937年生まれ、50年以上前から生物との共存を大切に、安全なお米を作り続け、いまも現役で、毎日田畑で元気に農作業に励んでいます。

そんな私ですが、20代の頃は体調を崩し、30代まで虚弱体質でした。その当時の食生活はかなりひどいもので、チョコレートが身体にいいいという人がいれば何袋もまとめ買いをして食べたり、ミカンもひと冬に10箱以上買って、好きなだけ家族で食べ尽くしたりしていました。肉魚、白米も好きなだけ食べ、今思えば荒れた食生活でした。暴食がたたり、極度の貧血になり、トイレで用を足しているときに気を失ってひっくり返り、大騒ぎになったこともありました。

このままではいけないと思っていた時、

文理書院の「健康ファミリー」という雑誌に出会い、玄米食を始めてみました。

当時は高度成長期で世の中が浮足立っており、美食がもてはやされていた時代でした。

なので、玄米のおにぎりを持って東武鉄道に出勤し、昼に弁当を開けると同僚は「なんでそんなまずいものをわざわざ食べるんだ?」と変わり者扱いされたものです。

しかし、自分の体調を観察していくと、玄米食を始めてから体調がみるみる回復し、馬力がついていくのが分かりました。そこで、野菜も有機無農薬に切り替えて食べるようになるとますます丈夫で疲れない身体になり、次女が生まれた頃には鉄道会社の仕事と農業の他に、土方にアルバイトに行けるほど丈夫で疲れない身体になりました。

さらに良い米、良い野菜を作りたいと意欲が出てきた20年ほど前に、琉球大学の比嘉照夫氏が発見したEM(有用微生物群)と出会いました。EMを使って栽培すると、病害虫に強い、抗酸化力の強い作物ができ、土壌もよくなっていきました。

発酵の素晴らしさを目の当たりにし、私はさらに自分で発酵資材も作ってみたくなりました。自分の米を使った玄米発酵乳酸菌や自家採取した光合成菌を培養することに成功し、さらに納豆菌、酒かすなども加えた独自の発酵資材を作り、米作り、野菜作りに生かしています。

これからは、発酵の素晴らしさを皆さんに伝え、日本の土を皆さんで浄化し、豊かにしていきたい。そして、誰もが自分で育てた安全な野菜を食べ、健康に暮らせる社会になることを願っています。

ずっと支えてくれていた家族