子どもたちに美味しい野菜を作って食べさせたい
農業女子のための、発酵農業アドバイザー、猪熊由里子です。
私は今、生まれ育った栃木の地でくまちゃん農園の発酵農業講座を主宰し、
農業初心者向けに発酵資材を使って安心安全で美味しいを育てる農業講座を開いています。
私は幼いころから両親や祖父母に連れられて田畑で遊んだり、農繁期には田植えや稲刈り
を手伝ったりして育ちました。
その一方で、思春期になるころには広い世界を見てみたい、海外で生活してみたいという
夢を抱くようになりました。
そうして私は大学を卒業し日本語教師となり、24歳の時、青年海外協力隊員として夢と
希望を胸にフィリピンのマニラに赴任しました。
日本で田舎暮らしばかりをしていた私にとって、
マニラでの生活環境は想像を絶するものでした。
コンクリートとアスファルトに囲まれ、風の行き場がない大都会。
土に触れたい
と思ってもどこにも見当たらない。
ひどい交通渋滞、ディーゼル車が吐き出すどす黒い排気ガスに
口や鼻を覆っても一日で鼻の穴は真っ黒で咳が止まらなくなる。
狭い路地を歩く
と、物乞いの子どもたちが「お金をちょうだい」と手を出しながら集まってくる。
肉やココナッツオイルをふんだんに使った偏った食事。
1年、2年と滞在期間が長くなるにつれてストレスで体調が悪くなっていき、
とうとう2年を過ぎたころには原因不明の腹痛で病院に入院するほどになってしまいました。
そんな時、痛感したこと
「土さえあれば、豊かな水と空気と土さえあれば、私は生きていける」
帰国後、故郷に帰った私は、自分の生まれ育った場所が豊かな自然に囲まれた、
かけがえのない素晴らしい場所だったとはじめて気付きました。
素足で田畑を歩き土に触れれば、
身体から毒素がすうっと抜けていくのを感じました。
採れたての野菜と発酵食品をふんだんに使った食事
美味しい空気と水、安心してリラックスして住める環境。
生まれた時から傍にあって当たり前だと思っていたことが
実は何にも代えがたい、自分の根っこを作っているものだと分かりました。
数か月で私は健康を回復し、そして命と健康を育む農業
を自分でもやってみたいと考えるようになりました。
結婚して埼玉の寄居町に移り住みました。
その頃、主人が職場へのストレスからうつ病を発症してしまいました。
家にいて落ち込み
表情がなくなっていく主人と向き合いながら、自然の中で身体を動かしたり、ゆったりと
心を癒しながら過ごせる場はないかと探していたところ
ご縁あって『皆農塾』で無農薬有機野菜の研修をさせていただけることになりました。
皆農塾で仲間と共に安心安全な野菜を育てながら、徐々に主人は笑顔が増えていき、心と
身体の健康を回復していきました。
本当にうれしい変化でした。
そして私は、いつか故郷にかえったら農園を開き、いろいろな人々を農園に受け入れて元
気になっていただけるような存在になりたいと夢を描くようになりました。
子どもが生まれ、主人と子どもとともに故郷に帰った私は、
その後3人の子育てに奔走しながらも、農業を広める夢を心に温め続けていました。
子育て中、次男の不登校で親子で
苦しんだ時期もありました。
その時も私たちを助けてくれたのはやはり自然でした。
学校に行きたくない次男と二人で小さな畑を耕し、深呼吸し、種を植え、野菜を育てました。
変化の乏しい引きこもりの生活の中で、日に日に育っていく青々とした野菜たちは、確実に彼に元気を与えてくれました。
そうして、2023年より、くまちゃん農園発酵農業講座を開講しました
これからこの自然豊かな土地を活かし、誰もが自分で野菜を作り、育てられるお手伝いを
していきたいです.。そして、くまちゃん農園に来た人々が心と身体を癒し、元気をチャー
ジして楽しく生活していける、そんな講座を続けていきたいと思います。